こまめ★戦争(2007.10.30) 幼馴染みの双葉さんがとととっと駆け寄ってきた。首の横で結って、長く前へ垂らした髪が揺れている。手には小さめの弁当箱を持って、昼休みの一風景だった。 「いっちゃん、オリーブって知っている? 実は、日本のこまめ島でも採れるんですって。オリーブ油の箱に書いてあったの」 「へー、オリーブが?」 箸をくわえているのを行儀が悪いと叱られ、適当に答えを返しながらくわえるのを止めた。何で今オリーブについて語りだしたのだろうと少し疑問だったが、双葉なら食ってる最中でも話したいことがあると来るかと、根拠もなく納得する。 双葉はその後、オリーブ油が肌に良いらしいとか何とか、一通り昨日知ったことを話してくれた。俺の側では弁当片手に源氏達が熱心にそれを聞いていた。さっきまでいなかったくせに、素早い奴らだな。 (……そーいや、こまめ島なんて聞いたことないな。そんなアホらしい名前、聞いたら忘れるわけないだろうに) ぼーっと聞き流しながら、頭の中でこまめ島を検索してみる。が、なかなか出てこない。そうこうしている内に、幼馴染みは話し終わって満足したのか、とととっと元いた女子グループへ戻っていく。その姿を一瞥し、再び昼食を再開しようとした。 (……こまめ……小豆……) 弁当の、白いご飯の上に豆が乗っていた。双葉が悪戯していったのか、顔の形に小さな煮豆が配列されている。無言で見ている俺に、源氏は「食物繊維が豊富だからって双葉ちゃんが乗せていってくれたぞ。良かったな」と言いつつ、豆を数個奪っていった。 (小豆……あずきも『小豆』って書くよな。……、……あ) 残された一粒の豆を箸で挟み、俺は「あぁ」と漏らす。源氏は俺がありがたがっていると勘違いしたようだが、俺は合点がいっただけだ。 (小豆島か。双葉の奴、『しょうどしま』って読めなかったんだ。……『あずきとう』とか言い出さなくて良かった) 呆れたように笑う俺に、周囲のファンクラブ会員は不思議そうな顔をしていた。 ……双葉じゃなくても間違えると思うよ。今回は仕方ない。日本語って難しいよな。 ☆ 本日の試合結果。こまめ勝利。 -レッツ☆ウォーtop- |